目指せ!健康マイスター

監修高橋 裕子たかはし ゆうこ

京都大学特任教授・日本禁煙科学会理事長・医学博士

京都大学医学部卒業。1994年、奈良県の大和高田市立病院に、国内初の「禁煙外来」を開設。京都大学医学部講師、奈良女子大学教授を経て、京都大学特任教授に。また、2009年より日本禁煙科学会理事長に就任。現在、京都大学附属病院や国立京都医療センターの禁煙外来を担当。インターネット禁煙マラソン主宰。

たばこの害は煙が消えた後にも!忍び寄る第3の煙

たばこの煙が消えても有害物質はなくならない

たばこの煙には、約200種類もの有害物質が含まれています。新型たばこと呼ばれる加熱式たばこにも有害物質は含まれます。そして、たばこから立ち上る副流煙のほうが、喫煙者が吸う主流煙より有害物質を多く含むため、吸わない人でも他人のたばこの煙を吸えば健康を損ないます。

最近では、この受動喫煙の害が広く認知され、社会的にも受動喫煙の防止が求められていますが、有害物質は煙が消えたからといってなくなるものではありません。たばこを吸った部屋や人を「たばこ臭い」と感じるのは、壁や衣類などに有害物質が付着しているためで、それを吸い込めば健康被害を受けます。これを「サードハンドスモーク」(残留受動喫煙)といいます。

たとえ喫煙者が分煙のマナーを守り、吸わない人の近くで吸わなくても、たばこの害をシャットアウトすることはできません。特に、害を受けやすいのが乳幼児や子供。床をハイハイしたり、おもちゃを口にしたり、喫煙者の親に抱きついたりと、大人より有害物質を吸引する機会が多いからです。

家庭内での子供の受動喫煙をなくすには、親の禁煙が一番。自分はもちろん、家族の健康のためにも禁煙しましょう。禁煙に手遅れはありません。禁煙しやすい薬も普及し、インターネットの禁煙マラソンなど、禁煙を手助けするサイトも提供されています。諦めず何度でも禁煙にチャレンジを。

こんなたばこの吸い方をしても…ベランダで吸う換気扇の下で吸う喫煙室で吸う空気清浄機を稼働させて吸う家族が外出しているときに部屋を吸うココに有害物質が付着●洗濯物●壁●床・カーペット●カーテン●家具●おもちゃ●衣服●髪●ほこりなど

たばこの煙火のついたたばこから立ち上がる副流煙主流煙の何倍もの有害物質が!ニコチンは2.8倍タールは3.4倍アンモニアは46倍一酸化炭素は4.7倍喫煙者がフィルターを通して吸い込み体内に入る主流煙たばこの煙に含まれる3大有害物質ニコチン血管の収縮や血中コレステロールの増加を招き、動脈硬化を促進させる一酸化炭素血液中のヘモグロビンの酸素運搬能力を低下させ、体の各組織を酸素欠乏にさせる。タール数多くの発がん性物質を含む。がんの発生を助け、その発育を加速させる。

喫煙の種類自らたばこを吸う能動喫煙他人の煙を吸う受動喫煙煙がなくなっても壁や衣類などに付着した有害物質を吸うサードハンドスモーク(残留受動喫煙)

禁煙成功のポイント禁煙外来を受診する禁煙補助剤を使う生活習慣を改善する仲間をつくる