目指せ!健康マイスター

監修坂井 文彦さかい ふみひこ

埼玉国際頭痛センター長 日本頭痛学会元理事長

1969年慶應義塾大学医学部卒業。2010年より現職。専門は神経内科、頭痛、脳卒中、脳循環代謝。

慢性化させない! 「片頭痛」を防ぐセルフケア

自分の頭痛を分析して片頭痛を減らそう

片頭痛は、ズキズキと脈打つような頭の痛みが月に数回起こる病気です。遺伝的な要因に加えて、多くは気候(気温、湿度、気圧など)の変化や強い光(太陽光やLED照明など)、街の雑踏、週末の気の緩み、空腹、女性ホルモンの変化などが引き金となって起こります。これらの影響を受け、体のリズムや睡眠に重要な役割を果たすセロトニンという神経伝達物質が減少すると、血管が拡張し、炎症が起こります。この炎症が痛みの直接の原因となります。

片頭痛を繰り返しているうちに痛みを記憶した回路が脳にでき、一層片頭痛が起こりやすい状態になります。予防するには、片頭痛の記憶回路を弱める「片頭痛予防体操」(下記参照)をしたり、片頭痛を引き起こす要因を意識的に避けたり、脳内のセロトニン量を安定させるように生活環境を整えたりするなどの方法がおすすめです。

治療としては脳の血管拡張を抑えて痛みを軽減させる処方薬や市販の鎮痛薬などがありますが、飲み過ぎには注意。セロトニンの働きが悪くなります。

痛みに耐えたり薬でごまかし続けたりすると、かえって慢性化を進行させます。継続して頭痛が起こるなら、まずは専門医を受診し、隠れた病気がないか確認を。その上で、セルフケア(下記参照)で片頭痛を上手に予防・改善していきましょう。

片頭痛の主な特徴 脈打つような強い痛み 頭の片側が痛むことが多い 週2回から~付き2回の頻度で起き毎回数時間~数日間続く 吐き気や嘔吐を伴う 音や光に過敏になる 動くと痛みが強くなる 頭を心臓より下げると痛みが強くなる 女性の方が発症しやすい

片頭痛を慢性化させないためのセルフケア

毎日2分!片頭痛予防体操

片頭痛予防体操を行っていると、脳に良い信号が送られ、片頭痛の記憶回路が弱まるので片頭痛が慢性化するのを防ぐことができます。痛みが起きている最中は動くと痛みが増してしまうので、痛みのないときに行いましょう。

オフィスなどでは座って行ってもOK!

体のリズムを整える呼吸法

呼吸法によって、血行がよくなったり、脳内のセロトニンの量が安定したりすると、血管の拡張が抑えられて片頭痛が起こりにくくなります。

腹式呼吸 ヨガ・太極拳

片頭痛を引き起こす要因を避ける

頭痛ダイアリーを見返して自分の片頭痛が起こるタイミングが分かってきたら、前もって予防を。気圧や湿度などの変化が片頭痛を引き起こす場合は、前もって天気予報などをチェックし、予定を変更したり体調を整えておくなどの準備をしましょう。

週末に起こる人は休日はゴロゴロせず、小旅行などの楽しい予定を入れる 強い光や音で起こる人はサングラスをかける、イヤーマフをする 空腹で起こる人は小まめに食事をとって空白の時間を減らす 赤ワインなどで起こる人は原因となる食品(赤ワイン、チョコレート、チーズなど)を避ける 片頭痛が始まったら おでこを冷やすと楽になることが多いです。また、いったん眠るとすっきりします。