目指せ!健康マイスター

監修三輪 洋人みわ ひろと

兵庫医科大学内科学 消化管科主任教授

1982年鹿児島大学卒業。専門は、消化器内科一般、上部消化管疾患。

慢性的に胃の調子が悪い 機能性ディスペプシア

自律神経の乱れによる伊の機能異常が原因

機能性ディスペプシアとは、胃痛や胃もたれなどの胃の不調が慢性的に続いているにもかかわらず、検査しても痛みなどを引き起こしている原因が見つからない病気です。

かつては、その症状から胃に炎症がなくても慢性胃炎などと診断されていましたが、最近では「胃の機能異常」により起こることが分かっています。

胃の機能は、自律神経によって調整されていますが、ストレスなどで自律神経の働きが乱れると、胃の動きが悪くなったり(胃運動機能異常)、胃酸の刺激に敏感になったり(内臓知覚過敏)と、胃に異常が生じるのです。

通常、食べ物が胃に入ると胃の上部が膨らんで食べ物をためますが、胃の運動機能が低下すると胃が十分に膨らまず、すぐにおなかがいっぱいになる「早期満腹感」という症状が現れます。また、食べ物を腸へ送り出す動きも悪くなると、胃の中に長く食べ物がとどまり、「胃もたれ」が起こります。

さらに、胃は胃壁から強い胃酸を分泌しますが、胃が胃酸の刺激に対して敏感になって、その分泌量にかかわらず痛みを感じてしまいます。これが「胃痛」です。

機能性ディスペプシアの治療は、症状に応じた薬物療法が中心です。加えて、食生活の改善や運動など自律神経を整える生活習慣を心掛けることが、胃の不調改善につながります。

胃の不調を招く要因 ストレスがきっかけで起こる +加えて 不摂生な生活・ピロリ菌の感染・胃酸による刺激

機能性ディスペプシアの代表的な症状 胃の運動機能異常で起こる(早期満腹感・胃もたれ) 胃の知覚過敏で起こる(胃痛・みぞおちのあたりが焼けつく感じ) その他(胃のむかつき・吐き気・腹部膨満感(お腹が張る)・食欲不振・胃の不快感)★強いストレスを受けている人は、うつ病のような症状も現れることがあります。

胃を元気に保つためのセルフケア

ストレスを上手に解消 機能性ディスペプシアの最大の原因はストレスです。ストレスの原因を自己分析し、自分なりのストレス解消法を見つけて実行しましょう。 熱中できる趣味を持つ・ウォーキングなど無理のない運動を習慣にする・友人などと思い切りおしゃべりをする

規則正しい生活を 夜更かし、朝食抜き、運動不足などの悪い生活習慣は、自律神経を乱して胃の不調の原因に。生活リズムを意識して、自律神経のバランスを整えましょう。

胃をいたわる食生活 胃に負担をかけない食事を心掛けましょう。食べ過ぎや早食いは、胃酸過多を招きます。夏は、冷たいもののとり過ぎにも注意して。

不安やストレスが強い場合は、医師に相談を 胃の不調の他にも、やる気が出ない、憂鬱(ゆううつ)など、うつに近い症状がある場合は、医師にその症状を伝えてください。抗不安薬や抗うつ剤を服用することで、それらの症状が改善することもあります。