機能性ディスペプシアとは、胃痛や胃もたれなどの胃の不調が慢性的に続いているにもかかわらず、検査しても痛みなどを引き起こしている原因が見つからない病気です。
かつては、その症状から胃に炎症がなくても慢性胃炎などと診断されていましたが、最近では「胃の機能異常」により起こることが分かっています。
胃の機能は、自律神経によって調整されていますが、ストレスなどで自律神経の働きが乱れると、胃の動きが悪くなったり(胃運動機能異常)、胃酸の刺激に敏感になったり(内臓知覚過敏)と、胃に異常が生じるのです。
通常、食べ物が胃に入ると胃の上部が膨らんで食べ物をためますが、胃の運動機能が低下すると胃が十分に膨らまず、すぐにおなかがいっぱいになる「早期満腹感」という症状が現れます。また、食べ物を腸へ送り出す動きも悪くなると、胃の中に長く食べ物がとどまり、「胃もたれ」が起こります。
さらに、胃は胃壁から強い胃酸を分泌しますが、胃が胃酸の刺激に対して敏感になって、その分泌量にかかわらず痛みを感じてしまいます。これが「胃痛」です。
機能性ディスペプシアの治療は、症状に応じた薬物療法が中心です。加えて、食生活の改善や運動など自律神経を整える生活習慣を心掛けることが、胃の不調改善につながります。