• 田中淳子
  • トレノケート株式会社 人材教育コンサルタント/
    産業カウンセラー/国家資格キャリアコンサルタント

Profile|たなか じゅんこ●1986年日本DEC入社。IT技術教育に従事した後、コミュニケーションなどビジネススキル教育を手掛けるようになる。1996年から現職。著書に『現場で実践!若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)、『ITエンジニアとして生き残るための「対人力」の高め方』(共著、日経BP社)など。ブログ「田中淳子の”大人の学び”支援隊!」も好評更新中。

9月 減らすより追加する

人間ドックの後、栄養指導を受ける機会がありました。宿泊を伴う出張が多いため、外食に頼らざるを得ない場合、心掛けたいことを聞いてみました。

「夕飯は買ってきたお弁当が多いのですが、味は濃いし、ご飯は多いし……。お弁当はやめた方がよいでしょうか」

「お弁当ならおかずの品数の多いものを選んで、さらに野菜不足を補うためにサラダを買って、お弁当+野菜とするとよいですよ。『やめる』のではなく、野菜を『追加する』という考え方です」

「なるほど。お弁当がNGとなると出張先で食事に悩むところでしたが、野菜を追加する、ということならできそうです」

以前受けたストレスマネジメント研修でも似たようなことを言われたのを思い出しました。

「ストレスマネジメントには、身体の健康も不可欠です。とはいえ、健康のために、あれはだめ、これはしない、と考えるのは大変です。普段していることをやめるのは、それ自体がストレスになります。それよりも、たった一つ、例えば、“朝ご飯をおいしく食べる”を生活に追加する。そうすると、スマホで動画を見て夜更かしをしたり、遅くまでお酒を飲んだりはしにくくなるはず。無意識のうちに早く寝るなど、生活リズムが整いやすくなります」

良くない習慣だとしても、自分の生活からなくすのは難しい。だから、やめるのではなく、それに代わる別の何かを追加する方向で考えればよいと言うのです。


例えば、だらだらとテレビを見るのをやめるのではなく、小説を読む時間を追加する。本の世界に入り込めれば、テレビを見る時間は結果的に今より減っていくかもしれません。

また、飲み物を外出先で買うのをやめるのではなく、生活に水筒を追加する。2週間も続ければ習慣になっているはずです。そうすると、「なぜ、毎日あちこちで飲み物を買っていたのだろう?」と思うようになります。


無理にやめようとしないで、別の何かを生活に追加する。この発想ができると、前に進みやすくなります。

もし、今「何かをやめなくては、減らさなくては!」と思っている方は、まずは何か生活に新しく追加できるものはないかな、と探してみてはいかがでしょう?