• 田中淳子
  • トレノケート株式会社 人材教育コンサルタント/
    産業カウンセラー/国家資格キャリアコンサルタント

Profile|たなか じゅんこ●1986年日本DEC入社。IT技術教育に従事した後、コミュニケーションなどビジネススキル教育を手掛けるようになる。1996年から現職。著書に『現場で実践!若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)、『ITエンジニアとして生き残るための「対人力」の高め方』(共著、日経BP社)など。ブログ「田中淳子の”大人の学び”支援隊!」も好評更新中。

8月 自分に「よし!」

あれもできない。これもできない。あれは苦手だし、あの人にはかなわない――。

そんなふうに自己嫌悪に陥ることはないでしょうか? 自身の「ダメな部分」を見つめ、自分はダメだ、と自信をなくしてしまうことが。

私は、ときどき自分のダメさ加減から目を背けたくなることがあります。例えば、片付いていた家の中が月火水、と日に日に何となく散らかってくることに。休日にある程度料理を作り置きしておいても、週末が近づくに従い、食生活が乱れてくることに。

仕事でも、「今週中に仕上げようと思っていたのに終わらなかった」「関係者に事前に話しておけば、物事がスムーズに進んだはずなのに」「あのとき、ああしておけばよかった」などなど。数えれば切りがありません。

しかし、あるとき、これは大なり小なり誰にだってあることなんじゃないか、とふと気付きました。周りの人は皆、凛としているように見えるけれど、涼しい顔して生きているように見えるけれど、案外自信がなかったり、落ち込んだりすることだってあるはずです。
だとしたら、自分で自分の「ダメ」を数え上げるよりも、自分で自分を褒めてみたらいいと思えるようになったのです。


家のことであれば、「ガス台を磨いた!」「アイロンをかけた!」と、やったこと一つ一つを「よくやった」と認める。仕事でも「報告書を仕上げた!」「納期をピタッと守った!」と、たとえできて当たり前のことであっても、「よし!」と思う。

できないことや不足していることを数え上げても、ハッピーな気持ちにはなれません。だから、「できたこと」「やったこと」を見つけては心の中で認め、「よし!」と言うのです。大人になるとなかなか周囲は褒めてくれないので、自分で自分を褒めるわけです。


足りないことばかりに目を向けるのではなく、自分だけでも「足りていること」(できていること、できたこと)に目を向けて、褒めてみる。そんな単純なことで、案外自己効力感が育つものです。

誰もいないところであれば、「よし!」と小さく声に出して言ってみるのもおすすめです。きっと自分が自分に励まされるはずですよ。