• 田中淳子
  • トレノケート株式会社 人材教育コンサルタント/
    産業カウンセラー/国家資格キャリアコンサルタント

Profile|たなか じゅんこ●1986年日本DEC入社。IT技術教育に従事した後、コミュニケーションなどビジネススキル教育を手掛けるようになる。1996年から現職。著書に『現場で実践!若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)、『ITエンジニアとして生き残るための「対人力」の高め方』(共著、日経BP社)など。ブログ「田中淳子の”大人の学び”支援隊!」も好評更新中。

6月 ニコニコさん

ある新入社員が「教育係の先輩が朝は機嫌が悪そうで相談しづらくて。だから、話しかけやすい雰囲気の別の先輩につい相談してしまう」と愚痴をこぼしていました。もう一人は「そうそう、今はヤバいよ、とまずは確認し合うよね」と苦笑いです。

いつも不機嫌そうに見える人は、このように周囲が話しかけるのを躊躇するなど気をつかってしまうので、人間関係において損をしています。周囲は、その人の機嫌を取るために存在しているわけではなく、無駄な労力を使うのも面倒です。結果的に、人が近寄らなくなり、孤立してしまうこともあるでしょう。


クライアントの担当者とランチをしたときのこと。「彼女と話していると心地よいのはなぜだろう?」としばらく考え、「そうか、いつも笑顔なのだ」と気づきました。「○○さん、いつも笑顔ですよね」と伝えると、「そうなんです。うちの子たちもよく笑っていて、保育園の先生に、ママにそっくりね、と言われるんです」と、これまた笑顔のお子さんの写真を見せてくれました。

いつも笑顔の人のことを、私は「ニコニコさん」と呼んでいます。「ニコニコさん」がいると周囲にも「ニコニコ」がうつり、自然とよい空気に包まれます。「ニコニコ」しているから話しかけられやすく、その人の周りはいつもにぎやかです。

無表情になりやすい私も、「ニコニコさん」を見習おうと笑顔を意識するようになりました。表情にも長年のくせがあるので、真顔が習慣化しているとそう簡単には笑顔を維持することができません。それでも、「笑顔!笑顔!」と自分に言い聞かせているうちに、だいぶ笑顔でいられるようになりました。

また、年齢を重ねると口角が下がり気味になるので、黙っているときもできるだけ口角だけは上げるようにしています。そうやって意識して表情を整えていると、気持ちまで明るくなるから不思議です。


ちょっと嫌なことや大変なことがあったときでも、とりあえず「にっ」と口角を上げてみると、周囲だけでなく自分自身がポジティブな気持ちになれます。不機嫌でいるよりも、「ニコニコ」しているほうが断然お得ですよ。