• 田中淳子
  • トレノケート株式会社 人材教育コンサルタント/
    産業カウンセラー/国家資格キャリアコンサルタント

Profile|たなか じゅんこ●1986年日本DEC入社。IT技術教育に従事した後、コミュニケーションなどビジネススキル教育を手掛けるようになる。1996年から現職。著書に『現場で実践!若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)、『ITエンジニアとして生き残るための「対人力」の高め方』(共著、日経BP社)など。ブログ「田中淳子の”大人の学び”支援隊!」も好評更新中。

5月 「非日常」を利用する

仕事やプライベートで失敗して、落ち込むことがあります。理不尽な目にあって、悔しさで頭がいっぱいという日もあるかもしれません。一晩寝たら忘れられると思っていても、翌日も何かのきっかけで思い出し、再びどんよりした気分に引き戻されてしまいます。

しかし、「なんであのとき、あんな判断をしたのだろう?」「なぜ、こんな目にあわなければならないのだろう」などとクヨクヨ考えても、済んだことは済んだことです。こういうときは、いつもと違う場所に自分を置いてみてはどうでしょう。


「こういう服、私は着ない」と思うような服がディスプレーされたブティックに入ってみる。書店で、普段は読まない分野のコーナーをくまなく見て回る。通勤途中にあるのは知っていたけど、入ったことがない公園を通り抜けてみる。いつもと違うことに触れてみると、世の中には自分の知らないことがたくさんあることに気づかされます。

「こういう服は、どんな人が着るのだろうか」「この分野の本が意外にラインナップされているんだな」「こんな銅像があったなんて」……。こうやって、ほんの少しだけ「非日常」に接して、普段しないことに自分を集中させていると、気分が軽くなっていることに気づくことがあります。

また、人間関係で嫌なことがあったときは、あまり親しくはない人と会うことも効果的です。インターネットなどを利用して、興味があるセミナーや勉強会に参加してみると、普段接点がない人たちと出会うことができます。私の場合は、大学が開催する社会人向けの講座に20年近く通っていますが、週1回、仕事での人間関係と全く属性が異なる人たちと会うことは、完全な「非日常」です。


日常の中に「後悔」や「不安」といったネガティブな感情が紛れ込んできたら、それを追い出そうとしてしまいがちですが、そう簡単には消えてなくなりません。

日常をネガティブな感情に支配される前に、「非日常」に自分を置いてみる。「非日常」に気を取られているうちに、日常のモヤモヤがスコーンと頭から抜けていきます。これ、案外おすすめですよ。