• 田中淳子
  • トレノケート株式会社 人材教育コンサルタント/
    産業カウンセラー/国家資格キャリアコンサルタント

Profile|たなか じゅんこ●1986年日本DEC入社。IT技術教育に従事した後、コミュニケーションなどビジネススキル教育を手掛けるようになる。1996年から現職。著書に『現場で実践!若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)、『ITエンジニアとして生き残るための「対人力」の高め方』(共著、日経BP社)など。ブログ「田中淳子の”大人の学び”支援隊!」も好評更新中。

2月 常に学び続ける、学び直す

新型コロナウイルスという目に見えない小さなウイルスによって、多くのことが変化しました。

例えば、会議。何十年も対面を「よし」としてきました。「大切な商談だから、しっかり対面で話さなくては」「部下とは、時間をとって、直接顔を合わせてコミュニケーションをとることが大事」。電車や車で移動し、取引先などを訪問し、対面で会議をして、また電車や車に乗って職場に戻る。部下を会議室に呼び、目標設定や評価の面談をする。誰もが疑うことなく何十年もしてきたことです。

しかし、感染リスクを減らすことが第一命題になると、その風景は激変しました。

できるだけオンラインで行うように――。

誰もが戸惑いながらも、恐らく数週間で慣れたのではないでしょうか? ツールも充実し、ネットワーク技術も進歩しているので、オンラインで会議や面談がほぼ問題なくできる時代。そうなると、「なぜ今まで何時間もかけて移動していたのだろう?」とかつての生産性の悪さに気付くことに。

在宅勤務も一気に注目を浴びました。仕事そのものを各自宅で行うことになると、自分の時間が増え、健康管理や家事、家族のケアに充てるなど、新しく手にした時間を有効に使った人も多かったのでは? そして「通勤って何だったのだろう?」と思ったに違いありません。

もちろん、こういう状況には弊害もあります。リアルに対面して、書類を見せながら話せば数分で済むようなことが、オンラインの場合、ちょっと時間がかかることもあります。しかし、たった一つのウイルスにより、「本当にこの方法が最善か?」といろいろなことについて考えるきっかけになったのは確かです。


どの業界もどの仕事も多大な影響を受けました。しかし、いつまでも嘆いているわけにはいきません。「所与の条件」で「できる最大のことを考える」。あるいは、「これまで考えたこともなかった方法を編み出す」。どんなときも人類は困難を乗り越えてきたのです。

よりよい社会をつくっていくのは、一人ひとりの知恵と勇気です。そのために、頭にこびりついた考え方を改め、新しいことを学び続ける。それが大切なのだと思います。