暮らしの防災 すぐに役立つ 防災の知恵袋

監修

アウトドア防災ガイド
あんどう りす

自身の被災体験とアウトドアの知識・経験を生かし、全国で年100回以上の講演活動を展開。大人から子供まで、毎日の生活から楽しく取り入れられる防災・非常時の実践的な知恵や提案などが口コミで人気に。webマガジン「リスク対策.com」にて好評連載中。著書に『りすの四季だより』(新建新聞社)。

質の向上を目指して当たり前の生活水準を避難所にも! 水害や地震、津波など災害の多い日本。いつ自分が被災者となるか分からないからこそ、避難先は快適であったほうがいいですよね?

女性の始点も取り入れてさまざまな人に配慮が必要

避難所ではこれまで、被災者に対して男性と女性のニーズの違いや子供・高齢者などさまざまな人への配慮が十分でないという問題がありました。そこで、男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン*1が2020年5月に内閣府男女共同参画局から明示されました。地域の防災力向上のため、男女の人権を尊重するために女性も参画すること、要配慮者への対応について女性の視点を取り入れることなどが必要とされています。

ガイドラインの中には「避難所チェックシート」や「授乳アセスメントシート」などがあり、具体的な項目が記載されていて活用しやすく、地域の防災対策を考えたときの目指すべき避難所運営の参考にもなります。

内閣府 男女 ガイドライン 検索

外出先での被災に備え「携帯トイレ」を持ち歩く

「質の向上」というと、「災害時は楽しんではいけない」「我慢すべき」という意識から、快適さを求めることを「わがまま」や「ぜいたく」と批判されることも。避難所で当たり前の生活を送ることは、わがままでもぜいたくでもありません。

例えば、生理用品を大勢の前で女性全員に配布する、という対応は思春期の女性には恥ずかしいこと。物資を平等に配布すればよいわけではなく、人格や尊厳にも配慮するべきなのです。

また、在宅避難や車中泊をする場合にも、物資や情報が限られて孤立しないよう必要な支援を受けられることが、快適な避難生活を送るためには重要です。

避難所の質が上がれば、劣悪な環境のせいで命を落とす被災者の数が減り、避難所の生活の質が保証されていれば、より早い避難行動にもつながるはずです。

新型コロナウイルスなどの感染症を広げないための避難所対策をはじめ、時代に合わせてよりよい避難所にしていく姿勢が常に求められます。私たち一人ひとりが目指すべき避難所をイメージし、声を上げていくことが、避難所の質を高めることにつながります。

「遊び」は子供の心を守る