監修・東海大学医学部教授(抗加齢ドック)
高輪メディカルクリニック院長
久保 明
若々しく活動するためには丈夫で強い骨をつくることが不可欠。骨に含まれるカルシウム量などを表す骨量は、誰でも20歳頃をピークに減少していくので、若い頃から骨量を増やしておくことが大切です。特に女性は、閉経を境に女性ホルモンが減少するため、急激に骨量が低下して骨粗しょう症(こつそしょうしょう)になる危険が高まります。骨粗しょう症になると骨がもろくなるので、ちょっと転んだだけでも骨折しやすく、寝たきりの原因になります。
また、骨は皮膚と同じように新陳代謝を行っています。新しい骨をつくる働きと、古い骨を壊す働きが交互にバランスよく行われることによって、絶えずうまれ変わっているのです。こうした骨の代謝がうまくできなくなると、骨量の減少が進み、骨が弱くなってしまいます。
骨の量が減る大きな原因は加齢ですが、そのスピードには個人差があります。むしろ問題なのは、運動不足、カルシウムやビタミンDの摂取不足、極端なダイエット、喫煙など、骨を弱くする生活習慣。最近の研究では、ストレスによる自律神経の乱れが、骨の代謝に影響していることもわかっています。
ですから、丈夫な骨をつくるには、まず、生活習慣を改善すること。下にあげた5カ条から始めましょう。
また、近年の研究で、骨からは、動脈硬化の進行にかかわる物質が分泌されていることが判明。さらに、骨髄内の細胞の中には、動脈硬化を起こした血管を修復する働きがあることも明らかになりました。骨の健康は、骨そのものだけでなく、血管や全身の健康にも大きく影響することも、ぜひ知っておいてください。
骨粗しょう症は、骨量が減少しているため腰椎の陰影がうまく現れません。
二重エネルギーX線骨密度測定(DXA法)などで自分の骨の状態を知っておくことも大事です。
骨粗しょう症の治療薬は、骨吸収を抑制するための薬が中心ですが、週1回だけ飲めばよい新しい製剤が開発され、注目を集めています。