平成29年度予算と社会保障

社会保障と税の一体改革が目指すのは、財政健全化と社会保障の持続可能性の確保である。将来世代への負担のつけ回しを回避するとともに、社会保障による安心をしっかりと次世代に引き継ぎたい。

この路線は、民主党政権下で構想され、歴史的な三党合意(平成24年6月)による消費税率引上げと年金・子ども子育て関連法の制定、政権交代後の社会保障制度改革国民会議報告(平成25年8月)、それを受けて制定された社会保障制度改革プログラム法(同年12月)、医療介護総合確保推進法(平成26年6月)、国民健康保険法等の改正(平成27年5月)等により推進されている。

だが、改革は緒についたばかりで、先行きは楽観できない。一体改革では、社会保障4経費(年金・医療・介護・少子化対策)の国・地方負担の全額を消費税で賄うものとしているが、消費税率を10%に引上げてもなお、平成29年度ベースで19.3兆円(消費税率7%相当)不足する。その引上げさえも、2度にわたり先送りされ、平成31年4月とされた。

また、菅内閣時代の「財政運営戦略」以来の財政健全化目標である、遅くとも平成32年度までに達成するものとされている基礎的財政収支の黒字化も、現状では極めて難しいと見られている(内閣府「中長期の経済財政に関する試算」)。

そういうなかで、厳しい予算編成が続いている。「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2015」は次のようにいう。

「安倍内閣のこれまで3年間の経済再生や改革の成果と合わせ、社会保障関係費の実質的な増加が高齢化による増加分に相当する伸び(1.5兆円程度)となっていること、経済・物価動向等を踏まえ、その基調を2018年度まで継続していくことを目安とし、効率化、予防等や制度改革に取り組む。」

実際に、平成25〜27年度予算では、消費税率8%への引上げによる社会保障の充実等を除く、社会保障予算の実質的な伸びは年平均5,000億円程度であった。そして、「骨太方針2015」の下での初年度であった平成28年度予算では、社会保障予算の自然増6,700億円の見込みに対して、1,700億円(薬価改定等▲1,500億円、協会けんぽ国庫補助の見直し▲200億円)を削減した。

続く今年度予算でも、自然増6,400億円増に対して、1,400億円を削減し、2年連続で5,000億円増にとどめるという目安を達成した。それは、骨太方針にもとづく「改革工程表」において、平成28年末までに結論を得ることとされていた改革項目を中心に、負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化などの観点から、医療・介護制度改革を着実に実施するものである(別表参照)。

同時に、無年金の問題が喫緊の課題であることから、年金受給資格期間の10年への短縮(満年度ベース650億円、平成29年度260億円)については、消費税率10%への引上げ時とされていた施行期日を今年8月に繰上げ実施することとした。しかし、低所得高齢者・障害者等への福祉的な給付措置としての年金生活者支援給付金の支給(5,600億円)や低所得の65歳以上の介護保険料軽減の完全実施(1,400億円)の施行は、消費税率10%への引上げ時とされている。

来年度予算はどうなるか。診療報酬と介護報酬の同時改定とも重なり、今から気になるところである。


記事提供 社会保険出版社〈20字×80行〉

 

 

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