「改正介護保険法施行3か月」

改正介護保険法が施行されて3か月が経った。被保険者の対象拡大こそ実現されなかったものの、「介護予防サービス」や「地域密着型サービス」の創設、「地域支援事業」の導入、「地域包括支援センター」の設置など、今回の改革は、抜本改革といってもいいほどの変更が加えられた。

その影響はどうなのだろうか。

やはり利用者への影響という点では、訪問介護サービスの回数や時間が減っていることが大きいようだ。制度改正に伴って、介護報酬も改定されたため、軽度、中重度者ともにサービスの利用時間がおおむねこれまでより減ることになったためだ。

例えば、制度改正に伴って、従来の「要介護1」から、新設の「要支援2」となり、従来の訪問介護サービスから介護予防訪問介護を受けることになった人の場合、掃除、調理などの家事援助の時間が減らされ、しかも、できるだけ自分もホームヘルパーと一緒に参加することが求められるようになった。

その結果、「掃除の時間が削られた」「調理の品数が減った」「ヘルパーとの会話が減った」などの声が、利用者の間からあがっている。さらに、独り暮らしの高齢者の場合、「ヘルパーが来てくれたときぐらいは、ホッと一息抜けたのに、『共にする介護』が徹底されたおかげで、ヘルパーが来ている間も休めなくなってしまった」という“嘆き”も聞かれる。

改正で、「要介護1」以下の軽度者は、原則的に福祉用具が使えなくなったことも波紋を広げている。軽度の人でも、介護用のベッドを使うことで、自分で寝返りや起きあがりをすることが可能となり、在宅生活が続けられる場合があるからだ。もちろん、公的給付での無駄が許されるわけではないが、個人個人の状態をよく見ずに一律的に給付をカットしてしまうと、かえって状態を悪くする場合もあると疑問を呈する専門家もいる。

一方、筋力トレーニングなどの介護予防サービスについては、実際に参加している高齢者たちの評判は、悪くなさそうだ。「体が軽くなった」「もっとやりたい」などの声も聞かれる。指導者がそばについて、無理のない範囲でトレーニングを行うことで、体が動く喜びや、状態が改善する喜びを感じている高齢者が少なくないと思われる。

もっとも、「今更、鍛えられるのはいや」「ケガが心配」という声も強い。筋力トレーニングを本当はやった方がいいが、やりたくないという高齢者にどれだけ参加してもらえるかが、今後の大きな課題といえる。

改正後の変化として、新たに「要支援」の認定を受けた人が、市町村に認定のやり直しを求めるケースが相次いでいる。従来、「要介護1」だった人が、認定で「要支援2」になった場合、月ごとの支給限度額は、従来より6万1800円の減少となる。そのため、「要支援2ではサービス量が制限されてしまう」「状態が変わらないのに要介護1から要支援2になるのはおかしい」などの理由で、変更申請が相次いでいるようだ。

「『要介護1』に残れる認定基準が厳しく、その結果、介護予防に向かない高齢者までが『要支援2』になっている」との指摘も自治体関係者からあがっている。これがそうだとすると、認定業務に対し、よりきめの細やかさが求められるといえよう。

高齢者数が増えるなか、介護保険制度が軽度者より中重度者を重視する流れは今後も変わらないだろうし、財政事情から考えても理解できる。ただ、給付を削られた軽度者への丁寧な説明や、あらゆる地域資源を活用して、給付が削られたことによりできた“穴”を埋める努力がなされなければ、改正は単なる給付カットにとどまり、制度への信頼性も揺らぎかねない恐れがある。保険者たる市町村には、多くの役割が課された改正であることを、自治体はよく肝に銘じる必要がある。

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