「ご機嫌」でいることを意識して、人間関係を豊かにする

「芸は身を助く」「情けは人の為ならず」これらは自分の仕事や日常生活をよりよくするためのことわざです。しかし、「芸」でも「他者への情け」でもなく、自分自身がいつも「ご機嫌」に振る舞っていること自体が、仕事や日常生活をよりハッピーなものにしてくれます。

「ご機嫌」でいることは、自分も周りも「得」をする

とある男性社員Aさんの場合

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彼は、いつもにこやかで、自部署のメンバーだけではなく、他部署や常駐している他社の人にも元気にあいさつをしています。あいさつ同様、誰かに何かしてもらったときは心からお礼を言っているのが相手にもわかるように、“ありがとうございます!”と感謝します。彼は、誰とでもすぐ打ち解けられて、“分け隔てなく”人間関係を築けるタイプです。そのため、先輩や同僚、後輩、他部署、ひいては社外の方からも“感じのよい人”“気持ちのいい人”と評判です。

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そんなAさんが、あるとき、自分自身のミスによってトラブルを引き起こしてしまいます。すると、同じ部署の先輩だけでなく他部署の人までもが動いてくれて、結果、トラブルはあっという間に解決されました。トラブルを招いた本人が収束に向かって誰よりも努力したことはもちろん、周囲の人たちがこぞって彼にサポートの手を差し伸べたことで、早期解決につながったのです。

「不機嫌」でいることは、「損」をすることばかり…

とある男性社員Bさんの場合

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彼は、いつも険しい顔をしていて、周りがあいさつをしても返事をしません。たとえ返事をしたとしても、低い声でぼそっと応じるだけ。人と会話をするときも腕を組んだままだったり、椅子にのけ反って座ったりしています。彼は、直接会話をしていると特に不機嫌なわけでも体調不良でもなく、ごくごく普通の人なのですが、他の人から自分がどう見えているかということに無頓着なタイプです。そのため、周囲からは、「何だか話しかけづらい」「仕事のことでも持ちかけづらい」と敬遠されています。

そんなBさんが、自分自身のミスで困った事態に陥ってしまいます。Bさんが「助けてほしい」と先輩や同僚に依頼すれば仕方なく手を貸してくれるかもしれませんが、言わなければ周囲は遠巻きに様子見をしているだけ。その結果、相談する相手もおらず、ほぼ周りのサポートなしでトラブルを解決することになってしまいました。

自分の機嫌は、自分自身でコントロールを!

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日頃から誰とでも友好関係を築き、いつも明るく振る舞い、誰からも好感をもたれているAさんのような人は、困ったときに周囲が放っておきません。なんとかしてあげなければ!と自主的に手助けをしてくれるということが、この例からよくわかります。逆に、Bさんのような人は、自分の不機嫌さ(内面ではなく、外見だけでも)をもっていつも周囲にネガティブな空気をまき散らし、職場のムードを悪くさせるので、自分が困ったときに周囲から支援が得られにくくなります。こういう人は、とても損をしています。

子どもは「お腹が空いた」「自分がやりたい遊びができない」など自分の感情の赴くままに機嫌が良くなったり、不機嫌になったりしますが、大人であれば自分の機嫌は自分でコントロールすべきものです。

自分自身の感情を「ご機嫌」な状態に保つと、場の雰囲気も明るくなり、周囲の人にとって居心地が良く感じられます。また、そうしていれば、何かがあったときに自分を助けてくれるということもあるわけです。
「ご機嫌」でいることは、大人の嗜みともいえるのです。

田中 淳子(たなか じゅんこ)

グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー。1986年日本DEC入社、IT技術教育に従事した後、コミュニケーションなどビジネススキル教育を手掛けるようになる。1996年から現職。著書に『はじめての後輩指導』(経団連出版)、『現場で実践!若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)など。

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