監修:寺本民生(帝京大学臨床研究センター センター長)

「高血圧」とは

心臓から体中に血液を循環させるため、血管にかかる圧力が「血圧」です。
心臓が収縮して血液を押し出すときを「収縮期(最高)血圧」と、 反対に心臓が拡張したときの血圧を「拡張期(最低)血圧」といいます。
血管のしなやかさがなくなる、血液がドロドロになる、循環させるべき血液量が多い、血液中の水分量が増えるなどにより血圧は上昇します。

検査の基準値。1 基準範囲 収縮期血圧 130㎜Hg未満 拡張期血圧 85㎜Hg未満、2 保健指導判定値 収縮期血圧 130~139㎜Hg 拡張期血圧 85~89㎜Hg、3 受診勧奨判定値 収縮期血圧 140㎜Hg以上 拡張期血圧 90㎜Hg以上。※特定検診における基準値

なぜ高血圧になるの?

肥満になると肥満細胞から血圧を上昇させるホルモン様物質が分泌され、血圧が上がります。
また、和食は食塩を含む調味料を使いがちですが、食塩が体内に入ると、体は血液中の食塩濃度を一定に保とうとして水分を多くとり、血液量が増えます。増加した血液を循環させるため血管に強い圧力をかけるので、高血圧になることも多いといわれています。

こんな習慣が高血圧を招く!味の濃いおかずやつまみをよくとる。野菜や果物をあまり食べない。めん類の汁を飲む。適量を超えた飲酒。喫煙習慣がある。ストレスが多い生活。あまり歩く機会がない。スポーツや運動の習慣がない

高血圧の何が問題?

高血圧は脳卒中や心臓病、腎臓病など、生命を脅かす病気の強力な危険因子です。しかし特有の症状が出にくいため予防や治療を行わないまま過ごし、重症化するケースが多いようです。
肥満をベースとして糖尿病や脂質異常症などと合併するとメタボリックシンドロームに進み、危険度が高まります。高血圧に近づいたら、生活習慣を見直しましょう。

高血圧と関連しておこる病気。脳卒中、血管が破れる脳出血、血管が詰まる脳梗塞などの症状が生命を脅かす。心臓病、冠動脈が狭まり酸素不足になる狭心症、冠動脈が詰まって壊死し、突然死の原因ともなる心筋梗塞などに。腎臓病、血流不足でろ過機能が低下する腎硬化症や、腎機能低下により透析が必要となる腎不全が起こる。
検査結果別 かくれた塩にも気をつける「減塩」生活術

はじめに肥満をチェック!

■肥満(BMI*25以上)の人は減量を。
体重の3%前後の減量で改善の見込みがあります。
*BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
■あなたの体重の3%は?
現在の体重kg × 0.03 = あなたの3%kg
基準範囲の人は、血圧を上げない習慣を身につけましょう。体を動かす習慣をつけるとともに、食塩を減らす工夫を始めましょう。調理済み食品や酒のつまみに調味料を使うときは、味を確かめてから少しだけつける。濃い味付けが好きなら、少しずつ薄味に慣らす。お酒は適量の範囲で。喫煙は高血圧のもと。禁煙を。気持ちよく体を動かしてストレスも解消!保健指導判断の人は、より積極的な減塩を。過食は摂取する食塩量も増えます。自分にできそうな目標を立て、毎日の生活状況を日記やメモに残すとなお効果的です。薄味でも食べ過ぎると食塩過剰に。ご注意を。汁物は具たくさんにして汁の量を減らす。積極的に取りたい食品→野菜や適量の果物。味付けにハーブなども活用。栄養成分表示などで食塩量を確かめる習慣を。食塩量に注意したい食品→麺、パン、練り物、加工肉、炊き込みご飯やすし飯、加工済み食品など。運動を始めるときは、医師や保健師に相談し、無理のない範囲で行おう。家の中の寒暖差をなるべく小さく。寒い脱衣所、廊下・トイレなどでは暖房や上着で寒さ対策を。受信勧奨判定値の人は、食塩摂取量は1日6g未満と、かなりの減塩が必要です。重症度や腎臓病などの合併症の有無により、カリウムやたんぱく質の摂取量にも個別の配慮が必要になる場合があります。医師や管理栄養士などに相談し、継続的にかかりつけ医を受信しつつ、生活習慣の改善も並行して行いましょう。
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