10月 年に一度は歯科健診

<監修>
医療法人社団湖聖会 銀座医院 院長補佐・抗加齢センター長
常葉大学健康科学部 教授
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任教授

久保 明 くぼあきら

慶應義塾大学医学部卒業。医学博士。予防医療とアンチエイジング医学に取り組み、銀座医院ではプレミアムドックを立ち上げその結果に基づく運動・栄養・点滴療法などを実践している。『人気の「これだけ健康法」が寿命を縮める』(講談社)など著書多数。

「歯は健康の要!」「「8020」を目指しましょう。」
口の中だけの問題ではありません

歯が大事だということは、誰もが分かっているものの、多くの人は痛みを我慢しきれなくなって初めて歯科医を訪れるのではないでしょうか。痛みが取れれば、また歯科医からは足が遠のく……。こんなことを続けていると、やがて全身の健康や寿命にも影響を及ぼすことをご存じですか。

歯の役割は、そしゃくだけではありません。発音や表情、脳の働き、平衡感覚のためにも重要な役割を果たすだけでなく、糖尿病などの生活習慣病を防ぐためにも健康な歯を維持することが欠かせません。まさに健康の 「要」ともいえる存在なのです。


「8020(ハチマル・ニイマル)」は健康長寿への道

80歳になっても20本以上の歯を保ち、生涯自分の歯でおいしく食べられるようにしようという「8020運動」。実際に歯が多く残っている人の方が、さまざまな面から見ても健康度が高いということがはっきりしています。

例えば、歯がほとんどなく義歯を使用していない人は、20本以上歯が残っている人と比べて、認知症発症のリスクが最大1.9倍も高いといわれています。また、歯の残存数が少ないと、それだけ全身の骨ももろくなっていると考えられ、転倒や寝たきり、要介護になるリスクも高くなることが分かっています。糖尿病との関連も深く、歯周病治療をきちんとすると、血糖コントロールが改善することも示唆されています。他にも、口腔ケアにより誤えん性肺炎の発症を約6割以下に抑えられたという報告もあります。歯が多く残っている人ほど、生活自立度が高く、健康長寿につながっています。

歯と健康の関係は、医療費の面から見てもはっきりと分かります。自分の歯が20本以上ある人と比べると、0〜4本の人は歯科医療費だけではなく、医科医療費も1.4〜1.6倍という調査結果があります。


年に一度は歯科健診を

歯周病や虫歯の治療は、重度になればなるほど時間も費用も掛かります。歯科健診を定期的に受けていれば、予防・早期治療が可能になります。これは、歯の医療費を削減すると同時に、全身の健康を守り将来の医療費を減らすことにも確実につながっています。健康寿命を延ばすためにも、定期的な歯のメンテナンスをお忘れなく。


歯のメンテナンスを怠ると…
健診?痛くないから大丈夫だよ。

歯のトラブルから偏食となり、栄養バランスが崩れて生活習慣病につながることも。寝たきりや要介護になるリスクも増える!
歯のメンテナンスをしていると…
今年も異常なし!素晴らしいですね。
ごはんがおいしいなぁ。食べ終わったらみんなで公園まで行かないか。

歯科健診を受けましょう

虫歯や歯周病は初期症状が少ないので、痛みや出血などの自覚症状が出るころにはかなり悪化している場合も…。自分の誕生日など、覚えやすい日を歯科健診の日と決めて、歯のメンテナンスを行いましょう。

歯や口の健康だけでなく、全身の健康にも留意してくれる「かかりつけ歯科医」をもつことが理想。高齢などで通いづらい場合は、在宅サービスの利用もおすすめです。