3月 たまっていませんか?飲み残したお薬

<監修>
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル)理事長

山口 育子 やまぐち いくこ

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML:
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者が自立・成熟し、主体的に医療参加することを目指して1990年に設立。患者と医療者が協働する医療の実現を目的に、電話相談やセミナー等、さまざまな活動を展開。

「残薬は、薬剤師にご相談ください!」
飲み忘れなどで余った薬

医師から処方された薬を飲み残して、家にためこんでしまうことはよくあります。飲み忘れや自己判断による中断の他、薬の種類が多過ぎて適切な服用ができなくなっている場合など、薬がたまる理由はさまざまです。中には、薬を飲んでいないことに医師が気付かず、症状が改善しないからと新たな薬を処方し、薬がさらに増えていく悪循環に陥ることも。複数の医療機関にかかっているときには、薬が重複して、もともと飲む必要のない薬が処方されていることもあります。

このように飲み残しなどで余った薬を「残薬」と呼びます。その無駄は、75歳以上の高齢者だけに限っても年間475億円以上と推計されているほど。医療費節約のために、そして、飲み間違いの危険を減らして、適切な治療につなげていくためにも、残薬をなくすことが大切です。


まずは薬剤師に相談

薬の重複や悪い飲み合わせを防ぐには、お薬手帳を活用して、今、どんな薬を飲んでいるかを医師や薬剤師に知らせることはもちろん、薬を飲み残してしまったときも、事実としてしっかり伝えましょう。もしも医師に言いにくいのなら薬剤師に。処方箋に従って薬を調剤するだけでなく、一人ひとりに合った飲み方の提

案や残薬を確認することも、薬剤師の重要な仕事なのです。

飲み忘れてしまうのは、薬を飲むタイミングが仕事や生活と合わないからかもしれません。理由が分かれば、例えば「昼に薬を飲みづらいのなら、1日1回の薬に変えてもらいましょう」といったように、薬剤師から医師に提案をしてもらうことも可能です。

その薬局で出してもらった薬でなくても相談できますが、どの医療機関で処方された薬でも、いつも調剤してもらう「かかりつけ薬局」が身近にあれば、気軽に相談しやすくなります。


残薬の有効活用

残薬は本人になら再利用できることもあるので、有効活用すれば医療費の節約になります。家の中にたまっている残薬をまとめて薬局に持っていくと、薬剤師が薬の種類や量、使用期限などを確認して、使える薬は使うように、医師に連絡して処方を調整してもらえる場合があります。

いきなり持っていくのがためらわれるのなら、自分や家族の残薬について、薬剤師に話してみましょう。大抵は「確認するので持ってきてください」と言ってくれるはずです。残薬を適切に確認して、医師との間で調整してくれることが、「かかりつけ薬局」を選ぶポイントの一つともいえるでしょう。


残薬を相談しないと…
薬は5種類ですね。まだ前の薬が余ってたんだけど……。どれがどれだかわからなくなりそう!
残薬を相談すれば…
実は、飲み残した薬がこれだけあるんです。実はこの薬、大きくて飲み込むのが大変で……。なるほど。それについても相談してみましょう。