周囲の期待に応えるのに疲れた

家

ではよきパートナー、よき親、よき家族として、職場では頼りになる上司や同僚として、友人付き合いではムードメーカーとして……。いつでも相手のことを考えて、頑張り過ぎていませんか。たとえ元々明るく外向きの性格だったとしても、常に自分のことを二の次にして頑張り過ぎれば誰だって疲れてしまいます。このような状況でまだ頑張ろうとしていると、疲労がストレスとなり、そのストレスがまた疲労を加速させてしまう、なんていうことも。うまくいかない状況やできない自分にイライラし、自己嫌悪に陥ってしまいがちです。

まず心掛けたいのが、疲れ切ってしまう前に、普段から頑張っている自分に適度に休息やごほうびをあげること。心のパワーが落ちているようなときは、ワイワイ騒ぐようなストレス発散法ではなく、おいしいものを食べたり、マッサージを受けたりするなど、自分をいたわるような休み方がおすすめです。へとへとになる前にケアできれば、深刻な事態に陥らないで済みます。

時には人に頼ることも大切です。人に迷惑を掛けない自分、常に気配りをする自分を保つことは立派ですが、疲れ切っているときまで一人で抱え込んでいるのは考えものです。状況に応じてサポートを求めることは、能力の一つ。「出掛けたついでにこれもお願いできる?」など、しなくてはならないことを少しずつ手放してみて。気軽に引き受けてもらえることも案外多くあるものです。

「以前は難なくできたのに」と過去の自分と比べて落ち込む必要はありません。気持ちや体調には波があって当たり前。「今は少し疲れているのかな」と認識するだけでも、過度に落ち込むことを防ぎ、気持ちを切り替えやすくなります。また、その波を客観的に捉えられるようになれば、疲れそうなときには休息を多めにとるなど、対策を立てられるようになってきます。少し先を見通せると、心にも余裕が生まれてくるはずです。

疲れを自覚しているなら、無理は禁物。そんなときは休むことを優先させてください。

イラスト

しもぞの そうた 1959年生まれ。防衛大学校卒業後、陸上自衛隊入隊。陸上自衛隊初の心理幹部となり、陸上自衛隊衛生学校メンタルヘルス教官としてメンタルヘルス、自殺防止、カウンセリングなどの教育に携わる。2015年退官。現在は惨事ストレスに対応するメンタルレスキューインストラクターとして活躍中。『自衛隊メンタル教官が教えてきた 自信がある人に変わるたった1つの方法』(朝日新聞出版)など著書多数。

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