「あの時ああしていれば」と後悔したら

「あの時、あの人と別れていなければ、今より幸せだったのではないか」「あの時、あの会社に入っていれば、ここまで苦労しなかったのではないか」―。そんな風に「あの時ああしていれば」と思うことはありませんか。

任せられる部下がいないから、上司である自分がやってしまう、自分がやってしまうから、管理職はいつまでも忙しい、忙しいから部下に教える時間も取れず、部下は育たない・・・

私は企業の人材育成に携わっていますが、ある企業での新入社員研修を受講されていた方と数年ぶりに再会しました。近況をうかがった後、彼女が新人時代に経験した「失敗」の話になりました。

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「上司が『新人のうちは、何事にも挑戦してみなさい』と言ってくださって。難しい仕事にも取り組むことができましたが、ある日、とんでもないミスをしてしまいました。でも、私の失敗に先輩たちが一斉に手を差し伸べてくださって、問題を解決することができました。失敗したことはすごく悔やみましたが、『ああ、仕事はチームで動いているんだな。誰かの失敗は皆の力で乗り越えるんだな』ということがわかりました。失敗自体はよくないことですが、失敗しなければわからなかったことです」

彼女は、「困った時などはメンバー同士助け合う」ことを自らのミスによって学んだのです。

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最近、『後悔病棟』という小説を読みました。医師が偶然手にした聴診器を患者の胸に当てると、患者が「あの時、ああしていれば」と後悔していた分岐点に戻り、人生をやり直せるというストーリーです。

登場人物たちは、それぞれに後悔している過去に立ち返り人生をやり直してみます。しかし、結果は想像していたほどよいものでもなく、結局は「ああ、元の人生でよかったのだ」と納得するのです。

この小説から、かれこれ20年ほど前に先輩に言われた言葉を思い出しました。

自分が選ばなかった道の先には何もないんだよね

得られたことに目を向けよう!

自分が選択しなかった時点で「あちらを選んでいればこうなった」という道は存在せず、そのように想像するのは単なる願望です。別の人生を歩み直すことができるのはファンタジーの世界だけで、「あの時ああしていれば」と思ったところで、過去、そして現実は変わりません。

過去の選択を後悔したくなった時は、現在までに得られたこと、気づけたことに目を向けてみるといいでしょう。どんな選択であっても自分に何かをもたらしてくれているはずです。

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