臨床心理士、心理学博士 関屋 裕希せきや ゆき

東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野客員研究員。早稲田大学第一文学部心理学専修卒業、筑波大学大学院人間総合科学研究科発達臨床心理学分野博士課程修了後、2012年より現所属にて特任研究員として勤務。専門は産業精神保健(職場のメンタルヘルス)。業種や企業規模を問わず、ストレスマネジメントに関する講演、コンサルティング他、執筆活動を行っている。

うまくいかないときこそ、自分をハグしよう!

illust

仕事で何か失敗やミスをしてしまったとき。家庭や生活の中でうまくいかないことがあったとき。皆さんの頭には、どんな言葉が浮かんできますか。

「なんてバカなことをしてしまったんだ!」

「こんなミスをするなんて自分はダメなやつだ」

「うまくいかないことばかり。
どうして自分はいつもこうなんだろう」

こんな言葉が浮かんでくるかもしれません。失敗を振り返って次に活かすのならいいのですが、こうして自分のことを「ダメなやつ」と責めると、自分の元気やエネルギーを奪ってしまうことになります。なぜなら、渦中にいるときには気付きにくいですが、実は、私たちは失敗によってとても「傷ついている」からです。

失敗したくてする人はいませんし、喜んでミスをする人もいません。「うまくやりたかったのにできなかった」ことで、ショックを受けているし、落ち込んで傷ついています。そのことに気付かないまま自分を責めてしまうと傷はどんどん深くなり、日々の仕事や生活がつらいものに。

だからこそ傷にはケアを!(子どもが転んで膝小僧を擦りむいたら、ばんそうこうを貼ってあげるのと同じことです。)本当は、こんなときこそ自分をやさしくケアしてあげるのが大切なのです。

どうやって自分をケアするのかというと、すぐにできるのが「ハグ」です。右手を左の腕に、左手を右の腕にあてて、胸の前で腕をクロスさせるようなポーズをとります。そして、手のひらで腕を「右、左、右、左」とぽんぽん交互にやさしくタップします。小さい子どもをなだめるように自分をハグしてみてください。

illust

最初は、変なことをしているな、と思うかもしれませんが、私たちの皮膚は敏感な器官なので、しばらく続けていると不思議と気持ちが落ち着いてくるのに気付くはず。「うまくやりたかったのに失敗してしまってショックだよね、傷ついたよね」と自分に声をかけながらハグするのもおすすめです。失敗した自分にやさしくするなんて、と思うかもしれませんが、人はやさしくされると「もうちょっと頑張ってみようかな」とエネルギーが湧いてくる生き物なのです。

自分を責めてエネルギーを奪うより、やさしいハグを。立ち上がって前を向く力につながっていくはずです。

illust

TOPへ戻る

Copyright (C) 社会保険出版社 All Rights Reserved.